お盆の迎え方・送り方

日本における夏の風物詩の一つ「お盆」。お盆の時期にはご家族で帰省したり行楽へ出かける人も多いでしょう。何となく連休の一つとして認識してしまいがちですが、皆さんはお盆に関してどれくらいご存知ですか？これまで「何となく」お盆を迎えていたという方もいるのではないでしょうか。

お盆について少しでも知見を深めることにより、慌てずにお盆を迎えることができます。

そこで今回は、正しいお盆の準備や知っておきたい知識などを分かりやすく説明します。

 

お盆とは？

お盆は古来より日本で行われてきた風習で、一年に一度あの世からこの世に帰ってくる故人やご先祖様をお迎えする大切な行事です。宗教宗派に限らず日本人の故人を弔う文化として古来より各地域に深く根付いています。お盆の時期は7月に行う7月盆と8月に行う8月盆があります。地域によって違いはありますが、7月盆も8月盆も13日にお迎えをして、16日に送ることが一般的です。

 

新盆とは？

新盆（初盆）とは、故人が亡くなってから初めて迎えるお盆のことです。今年が新盆にあたるかどうかは、「四十九日法要が終わっているかどうか」になります。無宗教の方や法要をされていない方の場合は、日にちとして49日が過ぎていれば、新盆にあたります。宗派にもよりますが、仏教では亡くなった日を1日目に入れて、49日目を過ぎていれば「向こうの世界」に行っているとされ、お盆に初めてお迎えすることになります。もし、四十九日法要を行っておらず、また故人が亡くなってから49日目も過ぎていない場合は、新盆は翌年になります。

 

新盆と通常のお盆の違いとは？

新盆と2回目以降のお盆の違いは、基本的には、新盆のみ「白紋天」と言われる白提灯を飾るという点だけになります。新盆では故人が初めて帰ってくるので、迷わないようにという願いから他の家とは違う『白提灯(白紋天)』を用意して、通常のお盆より丁重にお供え物やお花などを用意してお迎えをします。

 

新盆はいつものお盆より盛大に迎え故人をおもてなしするため、知人や親族等を招き、仏前やお墓の前で僧侶に読経してもらいます。読経後は、故人の供養のため参列者全員で食事をする場合もあります。

 

迎え火・送り火

「迎え火」は、盆入りの13日の夕方に、門口や玄関先でおがら（麻殻）を焚いて、その灯りを頼りにして故人にわが家に帰ってきてもらおうとする歓迎の灯火のことです。おがらとは、麻から皮の部分を剥いだあとに残った芯の部分のことです。麻は清浄な植物とされ、悪いものを清めるという意味があり、燃やして清浄な空間を作り出すという意味から迎え火の習慣に結び付いたと言われています。

その火を提灯に移して家に入り、精霊棚のろうそくに火をともし、お線香を供えてお参りします。また、お墓に行き、供えたお線香の火を提灯に移し、その提灯の火を家まで持ち帰って「お迎え」をする地域もあります。

 

 

【迎え火の実際】

おがらなどは毎年お盆の時期になると仏具店やスーパーなどで販売されます。

マンションなどの住宅事情で、玄関や軒先で火を燃やすことが難しいこともありますので、最近は「ろうそく型」で代用する方も増えています。

 

 

「送り火」は、盆明けの16日の夕方に、迎え火と同様に門口や玄関先で火を焚き、お盆の間一緒に過ごした祖霊を送りだし、気をつけて帰ってもらおうとする見送りの灯火です。精霊棚のろうそくから提灯をつけ、その灯りでお墓まで送る地域もあります。

 

 

【送り火の実際】

送り火は地域社会の全体行事として行われる大がかりなものもあります。

古くから地域行事として根付いているものとして、大きく分けて「山で行われる送り火」と「海や川で流す送り火」の2種類があります。

山や海で盛大に行われる送り火は、室町時代以降に年中行事の一つとして庶民の間に定着したと言われています。

 

京都五山の送り火で有名な「大文字焼き」は、山の送り火の中でも有名なものです。

また、海の送り火として有名な「灯籠流し」や「精霊流し」では、盆棚の飾り物や供物を盆船に乗せて、川や海に流します。

 

迎え方・送り方

精霊馬の作り方

きゅうりとなすにおがら（麻殻）や割箸などを指したものを「精霊馬」と言います。きゅうりは馬、なすは牛を指します。故人が現世に来る際の乗り物として利用されているといわれ、来る時は馬に乗って一刻も早く来られるように、戻る時は牛に乗ってゆっくり帰ってほしいという願いが込められています。

 

ほおずきは色・形が似ていることから自然界の提灯とも言われ、故人が迷わずに帰って来られるように灯りとしての提灯のように見立てられ、古くからお盆飾りに使われてきました。一つ二つ置いたり、吊り下げたり、お供えするお花と一緒に花瓶に飾ったりと飾り方は様々です。

 

新盆の飾り方

お盆飾りでは本来は、位牌は仏壇から出します。盆棚がある場合は、位牌を出すスペースがあるので、仏壇から位牌を出して飾るほうが良いでしょう。盆棚を使わない場合は、仏壇を中心にお花・お供え物・お線香道具などをレイアウトし、位牌は仏壇の中に入れたままにする場合もあります

仏壇がなく、位牌や遺影写真だけという方も、特に決まった形はなく位牌・遺影写真を中心にして思い思いに飾って頂ければ良いでしょう。

 

新盆のシンプルな飾り方

①「白提灯」

②「迎え火・送り火ろうそく」

③「果物・菓子などのお供え」

➃「生花」

 

迎え火・送り火はろうそく型でも、おがらで火を焚いても良いです。

また、故人がお好きだった食べ物とお花を供えてあげると良いでしょう。

 

2年目以降のお盆供養は白提灯の代わりに色付きの提灯を飾ります。白提灯は新盆を終えた後、処分します。処分方法は、以前は送り火とともに燃やしたり、海・川へ流したりしましたが、今は塩や酒をかけるなどして清め、新聞紙などにくるんで処分する事が多いです。

 

まとめ

お盆は地域や宗派によって時期や風習等が異なりますが、最も大事なのはカタチにこだわることではなく、先祖や故人を大切に供養したいという気持ちです。日頃の感謝を表し温かく迎え入れることがご自身やご家族にとって一番のお盆供養となるはずです。

 

 

 

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